『不完全主義者』

C君は完璧が嫌いだ。

何事も中途半端で終わらせたい。

彼の性分だから仕方がない。

工作の授業があった。

C君は不完全な状態で終わらせてそれを文化祭で展示した。

たまたま訪れた一流の芸術家が見て「これは素晴らしい。造形も世界観もパーフェクトだ」と褒め称え、世界で名のある展示会で展示しようと薦めた。

一流の芸術家が言うのだから凄いのだろうと思い込んだ人達はC君の作品に群がった。

「天才少年現る」と騒ぎ立てた。

「世の中、なんていい加減なんだろう」とC君は心底思った。

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